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空想垂れ流し 42.Sin in the Other World and World~Injection~(f)

42.Sin in the Other World and World~Injection~(f)


 飛び去るシン・アスカ。その背中はどこか楽しげな雰囲気すら感じさせる。
 そんな彼の背中を空間に投影されたディスプレイ越しに見据えながら、ヴェロッサ・アコースは数日前のことを思い出していた。

 数日前のことだ。
 シン・アスカはヴェロッサ・アコースから呼び出された。
 基本的に機動六課のメンバーは現在の機動六課部隊長ヴェロッサ・アコースをそれほど良くは思っていない。
 一つの事実として八神はやてと言う人間は致命的なほどに指揮官に向いていない。
 指揮官とは如何様な状況にあろうとも“最悪の仮定”と“最良の仮定”を想定しながら行動しなければならない。最悪の仮定はそうなった場合にどう打開するか。最良の仮定はそうなった場合どう維持するか。二つの相反する仮定を常に持ち続けなければならない。
 時には切り捨てることも考える。残すべきは戦力であり命では無い。数字にのみ支配された思考。それが必要となる。
 彼女はこれが出来ない。数字よりも感情を優先する。人間としては優秀ではあるが、指揮官としては劣悪だ。
 だが、それゆえに彼女は慕われる。人柄と言うものは能力及び資質とはまるで別次元の話だからだ。
 そんな慕われた彼女が“切られ”新たな人間がその場所に居座る―――それを面白いと思うはずが無い。
 だが、八神はやてが更迭される―――シン・アスカはそれを聞いても然程何を思うことも無かった。
 自分を使う相手が変わる。それだけの話でしかない。

 目前に存在する人間。ヴェロッサ・アコース。
 シンにとってはその名前が示す意味は一つだけだ。
 新たな部隊長。新たな主―---使う側。それだけの意味合いの記号(ナマエ)である。
 柔和な微笑みが形作る裏では何かを常に考えているような食えない人間。そんな印象―――別に何を考えていようと問題は無い。自分の邪魔をしないなら誰であっても構わない。

「いらっしゃい、シン・アスカ。」

 そこはヴェロッサ・アコースの執務室だ。元々は八神はやての部屋――つまり、部隊長室。

「失礼します。ヴェロッサ・アコース部隊長。」

 部屋に入る。直立不動。両手を後ろに回し腰に当て、背筋を伸ばす。模範的な軍人と言う言葉が似合う姿で、シンがヴェロッサの前に立った。
 そんなシンのあまりにも“模範的な”姿にヴェロッサは苦笑しつつ、机に肘を突き、彼に向かって口を開く。

「ヴェロッサでいいよ。堅苦しいのは無しにしよう。今日、キミを此処に呼んだ理由――聞いてるかな?」
「今後の作戦についての話だと。」
「まあ・・・そうなるかな。」

 ヴェロッサはそう言って一枚の紙を机に置き、シンに向けて差し出した。

「今度の襲撃の際にキミに任された“任務”だ。それの承諾を得ておこうと思ってね。・・・読めば分かるが、内容が内容だ。キミには拒否する権利も存在している。」

 差し出された紙を手に取り眺める―――読むほどにシンの雰囲気が変わっていく。無表情に亀裂が入る。喜びが表に出てくる。
 その紙に書いてある内容―――次回の襲撃において、単騎にて敵陣への襲撃を行う。その際に後方より援護射撃が行われる。それを“回避”しつつ、襲撃を敢行する。
 これの意味するところは一つ。目前の男、ヴェロッサ・アコースはシン・アスカに死ねと言っているのだ。馬鹿げた内容だ。拒否する権利などあって然るべきだろう。

 そう、それは、あまりにも―――あまりにも今の自分にとって“都合の良い”命令だった。

 唇が釣り上がるのを止められない。喜びが顔に流れ込む。頬が歪むのが分かる。笑っている。どこにこれだけの感情があったのかと感心するほどに頬が緩むのが止められない。

「問題・・・ありません。ただ、」
「ただ?」
「これを。」

 右手に持ったデバイス―――フェイスバッジの姿をしたデバイス、デスティニーをヴェロッサに向けて差し出す。

「これに二人の遺品を埋め込んで欲しいんです。」

 二人の遺品――そう言われて思いつくのは一つしかない。
 あの時、二人が死んだ時に遺されたモノ。
 ギンガ・ナカジマのリボルバーナックルの残骸と黒いバリアジャケット。

「・・・リボルバーナックルとフェイト執務官のバリアジャケットをかい?別に構わないが・・・・それは僕の管轄じゃない。そういうのはシャリオ・フィニーノにでも頼むべきじゃないかな。キミがどうしてもと言うなら許可は出しておくが。」
「いえ、一度シャリオさんに頼んだところ、やる意味が無いと言われて。」
「やる意味がない・・・?」
「はい。ですから」

 言葉を切って、机に両手を当てる―――朱い瞳が濁り出す。閉鎖した今では在り得ないほどの感情の吐露。それだけシン・アスカにとってその行為は重要だった。

「部隊長から、シャリオさんに“命令”して欲しいんです。デスティニーに二人の武器を埋め込んでくれって。」

 瞳に滲み出すは虚無では無く“狂気”とも呼べる感情。開いた瞳孔と釣り上がった唇が畏れを抱かせる微笑み。

「・・・・それがキミがこの任務を受ける、“条件”か?」
「はい。」

 暫し、睨み合う二人。沈黙と緊張が張り詰めていく―――ヴェロッサが執務室内の電話機に手を掛けた。

「・・・・あ、シャリオ君かい?僕の部屋に来てもらえないかな?ああ、今すぐに頼むよ。」

 電話の相手は少しだけ、戸惑っていたようだが・・・上司の呼び出しだ。基本的に拒む理由は無い。受話器を戻し、ヴェロッサはシンを見た。

「・・・・これでいいんだね?」
「・・・・ありがとうございます。」

 シンは笑った。


 机の前に立ち並ぶシン・アスカとシャリオ・フィニーニ。
 ヴェロッサ・アコースはこれから自分がやることを考えると正直なところ憂鬱だった。
 仕事をすると言う点で言えば彼は有能だ。与えられた仕事は問題なくこなす。むしろそれ以上のことをやる自信もある―――その程度には有能だ、と自己評価をしている。
 だが、それでも彼がこれからすることは憂鬱だ。
 他人の自殺に手を貸せ、などと言う命令を行う――憂鬱にならないはずがない。命令している自分自身が嫌なのだ。それを強要された側にとってはそれ以上に嫌な話だろう。

「・・・・それで、やる意味が無いと言うのは?」
「言葉通りの意味です、アコース部隊長。」

 シャリオ・フィニーニがヴェロッサに向けて口を開く―――シンが望むプランの無意味さを説明する為に。

「デスティニーはこれまでの調整と戦闘における成長を含めて、改良をする余地が無いデバイスです。こちらからそういった後付けの処置による追加武装をしたならば、性能は確実に下がります。」

 ふむ、と頷き、ヴェロッサは机に両肘を付き、顎の前で両手を組む。
 瞳はシャリオから逸らさない―――気が乗らないが今の自分は、期限付きとは言え“使う側”だ。使う側が使われる側におかしな態度を取るのはあまり良いことでは無い。それも自分のように望まれずに入ってきたような輩は特に。

(辛いね、どうにも。)

 心中でひっそりと溜め息を吐きながら、ヴェロッサはシャリオの話に耳を傾ける。
 ヴェロッサの視線に少しだけ気圧されながらも、シャリオ・フィニーニは自身の職務の為に説明を続ける。

「・・・・・リボルバーナックルはデスティニーに入れるには重すぎます。フェイトさんのバリアジャケットはシンが使うには魔力消費が大きくなり過ぎます。単純なスペックで言うなら、向上するでしょうけど・・・・まるで意味が無いんです。威力を上げて速度を殺して、防御力を上げて消費を大きくして・・・」
「確かに・・・・シン・アスカとしての戦闘能力は落ちるだろうね。」

 口を開く。確かに彼女の言う通りその改造ではデスティニーの能力は向上するかもしれないが、シン・アスカとしての能力は落ちるのは間違いない。
 シン・アスカという魔導師の生命線とも言える“速度”を阻害する威力の向上など害悪以外の何者でも無いのだから。

「はい。だから、私は・・・・・」

 俯いて、シンを見やるシャリオ・フィニーニ。表情に疲れが見える。彼女もまた疲れているのだろう。あまりにも目まぐるしく変動する周囲の状況。更にはこれまでに無い規模の襲撃。疲れないはずが無い。
 沈黙。二人の瞳と瞳がぶつかる―――シン・アスカとシャリオ・フィニーノの二つの瞳。
 シンの朱い瞳がシャリオを覗き込む。無機質で虚ろな朱い瞳に狂気は無い。昆虫のように無機質で純粋な光だけが残っている。

「それで、構わないんです。」

 沈黙を破るようにして、それまで黙っていたシンが口を開いた。

「シン・・・だから、それは・・・」
「お願いします。」

 頭を下げるシン。その様子は必死、と言うよりは頑固と言った方がいい。意味が無い、と何度説明されても彼は恐らく納得はしないだろう。彼が望む改造に意味など無い―――そんなこと初めから全て知っているのかもしれない。
 彼がここまでその改造に固執する理由。考えるまでもなく、それは、

「・・・・形見分けのつもりかい?」

 思わず、脳裏に生まれた言葉を呟いた。誰が何を言おうと、理由は恐らくそれだ。
 ギンガ・ナカジマとフェイト・T・ハラオウンの遺品と共に在る―――感傷以外の何者でもない。
 自分が放った言葉を受けて、僅かな驚きがシンの顔に浮かび上がる。
 言われて初めて気付いた――そんな様子だった。
 本人は気付いていなかったのかもしれないが、その様子は大切な人の形見を求める様そのものだ。

「・・・・そんなんじゃないですよ。強くなるには一番手っ取り早い方法だからです。」

 溜め息を吐く。

「それって、どういうこと・・・・?」

 シンの言葉を理解できないシャリオ。

「簡単なことさ。シンにはエクストリームブラストがある。君が気にしているデメリットはエクストリームブラストを使えば、関係が無くなるのさ。」

 エクストリームブラスト。シン・アスカの使う魔法の一種だ。その魔法がもたらす効果はベルカ、ミッドチルダなどのあらゆる魔法体系の中でも稀に見るほどに特殊かつ強力で、何よりも危険な魔法。
 周囲からの命の搾取を行い、魔力に変換――それによって得た膨大な魔力によって得られる絶大な戦闘力と異常な肉体再生能力。目にも映らぬ速度、膨大な出力に絶大な威力を伴う各種魔法、吹き飛んだ腕が即座に復元するほどの異常再生。
 これらの前では今シャリオが言ったデメリットなど大した問題にはならない。
 どんなに重かろうとエクストリームブラストが発動したならば気には無くなる。どんなに魔力消費が多かろうと周囲から魔力を搾取し続けるならば、気には無くなる。
 むしろ、エクストリームブラストを発動したならば“威力が上がる”“防御力が上がる”と言うメリットのみが残り、デメリットは消えうせるのだ。
 シン・アスカという魔導師の価値がエクストリームブラストにある以上、その改造はそれほど問題の在るプランではない。

「そういうことだろう、シン?」
「はい。」
「・・・・・・」

 シャリオ・フィニーニは何も喋らない。不満を隠そうともせずにこちらを睨んでいる―――当然だろう。自分が彼女の立場でも同じことをするに違い無い。

「・・・そういうことだ。シャリオ君、悪いがやってもらえないかな?」

 彼女が小さく呟く。

「・・・・それは命令ですか?」

 心中で溜め息。この後言う言葉への自分自身への嘲笑と気苦労を思って。

「ああ。これは命令だ。」

 一拍の沈黙。それは彼女自身の葛藤の長さをそのまま表している。奥歯を噛み締め、拳を握りこむ。爆発しそうな感情を押さえ込む為に。

「・・・・分かりました。次の襲撃までに・・・間に合わせればいいんですね?」
「ああ、その通りだ。」
「・・・・了解しました。」

 そう言って、彼女は振り返って、出口にまで歩いていく―――呟く。

「・・・・・シンも来てくれますか?貴方の意見無しでは私も改造なんて出来ない。」
「・・・ええ、お願いします。」

 笑うシン・アスカ―――嬉しそうに笑っている。
 これから死地に向かうとはとても思えない笑顔。その笑顔が綺麗であればあるほどに、痛々しさは募るばかりだった。
 二人が出ていった室内で、誰とも無しに毒づいた。

「・・・まったく、カリムもとんだ役目を押し付けてくれる。」

 椅子の背もたれに背中を押し付けて天井を見る。思い浮かぶのはあの笑顔――シン・アスカについてだった。
 恐らく、あの男に生きて帰って来る気は無い。死ぬつもり―――と言うよりもむしろ、死にたがっているような伏しさえ感じる。
 本人は気づいていないかもしれないが、彼にとってあの二人がどれだけ大切だったのか、それがよく理解出来る。
 大切でなければ失ったことであれほどに“壊れ”はしない。大切でなければ今頃過去は忘れようと努力していることだろう。

「もう少し、マエムキに・・・・は無理か。あれはそういう男じゃない。いつまで経っても過去を振り切れずに過去に振り回される男だ。」

 ヴェロッサ・アコースのシン・アスカと言う男の見立てはそれだった。いつまでもいつまでも過去に囚われ続ける馬鹿な男。
 ギンガ・ナカジマの提出した報告書にはそれこそその見立てを裏付ける事実が幾つも書かれていた。
 そして、その後の事実をカリムから口頭で伝えられた事実や八神はやての報告書等もそれらを裏付ける。
 シン・アスカと言う男は、まるで過去に囚われることを義務だとでも思っているかのように生きている。
 戦争によって失われた家族―――それを振り払うように戦争に没頭する。それからずっと彼は没頭し続けている。戦争に。平和に。突き詰めて行けば守る事に。彼は過去を振り切れないでいる―――むしろ彼は過去に依存している。
 過去がなければ人は生きていけない。けれど過去に依存する人間は未来を見れない。後ろばかりを振り返っていれば、足元の花を踏み潰しても気づかない。前だけを見つめる人間が足元の花を踏み潰しても気づかないのと同じように。

 哀れな男だ―――ヴェロッサ・アコースはそうシン・アスカを哀れんだ。
 彼にしてみれば、そう思われることは心外かもしれない。彼自身はきっと自分を哀れになど思っていない。
 だが、それこそが哀れなのだ。

「何が哀れかって・・・・・彼自身がそれを哀れだと思っていないことだろうね。」

 呟きが漏れる。懐から飴玉を取り出し、口に含む。甘い。砂糖の甘さが下の上で転がっていく。

「終わりが近いことすら喜んでいる・・・・哀れでないはずが無い、か。」

 無限の猟犬(ウンエントリヒ・ヤークト)―――彼自身の希少技能。魔力で生み出した猟犬によって探索・捜索を行う魔法である。
 ヴェロッサ・アコースは現在これを機動六課隊舎に幾つか放っている。無論プライベートは覗かない―――覗くのはあくまでも仕事に必要な情報だ。ティアナの作ったサンドイッチを食べていたシン・アスカの様子、そしてその後の二人とのやり取りを彼はひっそりと見ていた。それにより知ったある事実―――彼は恐らく味覚を失っている。力の後遺症なのかもしれない。違う理由なのかもしれない。けれど、どちらにしても同じ事だ。既に彼の“終わり”は近いのだろう。
 そんなシン・アスカを思うと――口に含んだ飴の甘さがやけに胸に痛い。その癖その甘さを楽しむ自分がいる。そして、それを“覗いて”まで知ったのに何もしようとしない自分もいる。
 感情と職務。切り離して当然の行為。それを当然の如く切り離せる自分。
 やりきれない感情があるのに、身体はそれとは別に動いていく。
 飴を舌の上で転がす―――それを止めようとも思わない。止めたとしても意味の無い行為だ。
 何よりその思考そのものが意味が無い。使う側が使われる側を気にする――それも程ほどにだろう。

「・・・・果たして彼は壊れて終わるのか、死んで終わるのか・・・・一体どちらが幸せなんだろうね。」

 言葉はどこにも届かない。ただ空気に溶け込んで消えて行った。


 そうして、数日前の事柄を思い出し、ヴェロッサ・アコースはシャリオ・フィニーニの杞憂がまさしく杞憂に終わったことを確認していた。

「・・・・獅子奮迅とはこのことだね。」

 呆れたような声―――ヴェロッサ・アコースの声。
 誰もその軽口に答えない。答える余裕は無い。喧騒が支配している司令室――と言うよりも屯所と言った方がいい。即席で作られた野営地。そんな印象が強い。
 画面の中ではシン・アスカがガジェットドローン相手に猛威を振るっている。
 一振り毎に断ち切られていく機械。一撃毎に弾けていく機械。
 周囲から放たれるガジェットドローンの攻撃――流石にミサイル等による攻撃は全て回避するかケルベロスⅡによって破壊しているがそれ以外の熱線などの攻撃は全て黒いバリアジャケットが滑らせていく。元々は表裏共に白色だが、その色は今は黒色に変わっている。これはシャリオ・フィニーニがフェイトのバリアジャケットにある加工を施した結果だった。

 施されている加工は簡単なモノだ。魔力を流すことで外面部分の耐熱温度が上がるというそれだけの簡単な術式。ただ、そこに流れ込む魔力の量だけが通常のバリアジャケットよりも遥かに大きい。結果として通常ならば燃え尽きてしまうような温度であってもその外套は耐え抜いている。外套の所々から煙が上がっている。焦げ付き出しているのだ。引っ切り無しに周辺から撃たれる攻撃を受け続けることで。
 回避の隙間などそこには無い。だから受け止めるしか無い。
 そうして、シンはずっと戦い続けている。彼の肉体を覆う朱い炎―――エクストリームブラストは既に使用されている。既に彼と味方との距離は大分と離れている。エクストリームブラストを使っても影響が出ない程度には。
 それを確認し、ヴェロッサが呟いた。

「・・・・砲撃開始。その後、フォワード陣は敵陣に向けて突破を始めようか。その際に絶対にシン・アスカには近づくな。あくまで彼の単騎を維持することを最優先しろ。」

 緊張が走る。それは初めから予定されていた行動。今回の作戦において、最も重要な部分であり、そして最も馬鹿げた部分。この作戦は初めからシン・アスカの犠牲を前提として立てられている。そんな馬鹿げた事実。
 無論、ティアナ・ランスター、スバル・ナカジマ、キャロ・ル・ルシエ、ヴォルケンリッター等一部の人間はこれに反論したがそんな僅かな人数の反論で作戦内容が覆るわけも無い。大体にして殆ど全ての人間がこの作戦が倫理として馬鹿げていても、方法としては最適だと分かっていたのだから。
 一人の犠牲によって多くの犠牲が無くなるのだ。誰であってもそれを選ぶのが世の常だ。
 砲撃が始まる。色取り取りの魔力光が敵陣に向けて―――その中で戦い続けるシン・アスカをも巻き込んで―――放たれる。
 色を変える世界。燃える世界。

「・・・・さて、生き残ってくれよ、シン・アスカ。」
 無責任な言葉だ。心底思っていない言葉を口にする―――ヴェロッサ・アコースはそんな自分を酷く滑稽に思った。


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